合同会社を株式会社に組織変更する登記手続きを一人社長が一人でやってみた

2019年1月9日

官報

私が持っている合同会社を、株式会社に変更しました。正式には「組織変更」という手続きになります。

この登記手続きを、司法書士や行政書士に頼まず、1人社長である私が1人で行いました。

この記事で詳しく、自分で登記手続きをする手順を説明します!

そもそもなんで合同会社を設立?

私は、約2年前に合同会社を設立しました。こちらの設立登記手続きも、自分1人で行っています。

なぜ株式会社ではなく合同会社を設立したかと言うと、費用が安く済むからです。合同会社の設立は非常に安い上に、その後株式会社に組織変更するにしても、最初から株式会社を設立するより安く済むと言う抜け道があります。

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そんなこんなで設立した合同会社を、2年経ったのを機に株式会社に変更することにしました

株式会社に組織変更するメリット

合同会社 株式会社
最低資本金 1円
代表者 代表社員 代表取締役
必要な最低役員数 1名
役員の任期 任期なし 2年
(株式の譲渡制限がある場合は最大10年)
社会的な信用度 低い 高い
税制・節税メリット ほぼ同じ
社会保険への加入 義務
決算の公告義務 なし あり
株式公開 できない できる
重要事項の決定機関 社員総会 株主総会

株式会社と合同会社は、上記のような違いがあります。実は税制ではほとんど差がありません。どちらの会社でも同じような節税策を使うことができます。

しかし、一般社会においては株式会社と合同会社は全然違いますよね。株式会社にすることで、こちらの2つの信用メリットを得ることができます。

知名度・信用

最近は合同会社の数も増えていますが、まだまだ「株式会社」という言葉の知名度と信用力にはとてもとてもかないません。

私がビジネスの話をする場でさえ、合同会社と言うものを知っている人は多くないです。ましてや一般の人にはほとんど知られていません。

少々お金を支払うことで株式会社にすることができ、こういった問題から解放されることができます。

代表取締役と名乗れる

合同会社の代表者は代表社員です。私もいろいろなところで肩書を「代表社員」と書いてきました。

しかし株式会社にすることで、肩書を代表取締役と書くことができます。こちらも信用を得るのに役立つでしょう。

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個人的にも、「代表取締役」と名乗る方が気合が入ります

株式会社に組織変更するデメリット

さて、一方で合同会社を株式会社にすることで、このようなデメリットが生じます。

簡単に言うと、少々のお金と手間がかかるようになります。

お金がかかる

収入印紙

まず、合同会社を株式会社に組織変更する登記手続きにおよそ9万円かかります。内訳は、登録免許税に6万円と、官報への掲載料に約3万円です。

加えて、新しい印鑑や登記簿謄本を得るための雑費もかかります。

合同会社の設立登記の登録免許税6万円と合わせて、株式会社にするのに約15万円かかる計算になります。

最初から株式会社を設立するよりは安いですが、そこそこのお金がかかります。

 時間もかかる

また、手続きを始めてから完了させるまでにどうしても1ヵ月半程度の時間がかかります。

官報に掲載してから1ヶ月経たないと登記手続きができないですし、登記手続き自体も2週間ほどかかるためです。

今後、重任手続きの登記とお金がかかる

合同会社の役員である社員には任期がありません。特に何の手続きをしなくても、何十年も役員でいられます。

しかし、株式会社の役員には最大10年と言う任期があります。最大でも10年ごとに、役員を再び任命する「重任」と登記が必要になってきます。

登録免許税は1万円とそんなに高くはないですが、少なからず手間と費用がかかってしまいます。

決算の公告義務がある

もう一つ株式会社にはデメリットがあります。決算公告の義務です。どんな株式会社も必ず、決算を官報などで公告しなければなりません。

実際のところ、決算公告を行っている会社はかなり少ないですが・・、義務は義務なのでもし発覚したら会社法上の罰を受けます。

手続き①組織変更を決心する

では、具体的に合同会社を株式会社に組織変更する手順について説明していきます。私はこの手順に沿って、1人で手続きを行いました。

私の会社は私一人しかいない一人法人なので、細かいところは必要がなかったり省いていたり(社員総会を開いて決議する、とか)しますが、基本的な手順は同じかと思います。

会社

まず初めに、株式会社化するメリット・デメリットを勘案して、本当に組織変更する必要があるのかどうかを決心する必要があるでしょう。

株式会社化することで、今後より手間とお金がかかるようになります。それ以上のメリットが株式会社化することで得られるのか、考えてみてください。

知名度や信用力を得る必要がない事業を行っている場合であれば、株式会社にするメリットはそんなに大きくないのではないでしょうか。

逆に、これから事業をどんどんと拡大していきたいのであれば、株式会社にするメリットがあるかと思います。

手続き②官報に掲載する

官報

株式会社化することが決定したら、次のステップは官報への掲載です。官報とは、日本政府が発行している新聞のようなものです。

合同会社を株式会社にするには、会社法上の「債権者保護手続き」というものが必要になっており、最も手っ取り早いのが官報への掲載という方法です。

官報にて「私の会社はこれから株式会社に組織変更しますから、意義のある方は申し出てくださいね」と言う内容の掲載を行う必要があり、掲載してから最低でも1ヵ月間たたないと、組織変更登記ができません。つまり、早く組織変更登記をしたい場合には、早く官報への掲載申し込みを行う必要があるということです。

官報

※公告方法を「電子公告にて行う」と登記してあるならば電子公告、つまりWebサイトへの掲載でも可能なのですが、「この期間は確かに公告が掲載されていましたよ」と言う証明を調査機関に行ってもらわなければなりません。この費用がべらぼうに高いので、私はやりませんでした。

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国の新聞に掲載って、手続きがなんだかややこしそうだなぁ

と私は思っていたのですが、掲載内容はテンプレート化されており、文章を考える必要すらありません。掲載申込み自体もWebサイトから5分で終了。あとは担当者と掲載内容の確認の電話を1本行い、費用を振り込むだけで掲載されました。

申し込み窓口は各都道府県にありますので、「官報 掲載申し込み」とでもググってみてください。東京都の場合はこちらから申し込み可能です。

いつ掲載される?

官報には本誌と号外があるのですが、私たちが行う組織変更公告は本誌の方に載ります。

なぜか本誌の方が掲載申込みしてから実際に掲載されるまでの期間が短くて、中4営業日ほどで掲載されます。

費用を安く済ませるには?

掲載料は行数によって決まっています。ちなみに1行は22文字で、1行につき3,524円(消費税8%込)です。

つまり、掲載費用を安くするにはできる限り文字数を少なくするため、文字数を詰めたりする工夫が必要です。

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社名が短かったり住所が短かったり、代表者の氏名が短かったりすると得をします

最も短いパターンはこちらの通りです。

短いパターン組織変更公告
当社は株式会社に組織変更する事に致しました。この組織変更に異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から1箇月以内にお申し出ください。
平成三十年十二月三十日
合同会社◯◯◯
代表社員 ◯◯◯◯

私は改行を全て取り払って掲載申し込みをしたら、担当者の方から

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体裁って言うものがあるので、代表者名や会社名等の前には改行を入れなきゃダメです

と言われてしまいました。全部で8行×3,534円 = 28,192円かかりました。

掲載料金の支払

申込後しばらくすると、掲載料金の振込用紙が送られてきます。銀行振込でもOKです。

支払期日が載っていなかったので「この料金、いつまでに支払えばいいですか?」と聞いたら

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いつでもいいです

と言われました。

支払い期日のない請求書なんて初めて見ましたよ・・すぐ支払いましたけど。

官報が掲載される

掲載当日の朝になると、インターネット版官報からも掲載内容が確認できるようになります。

また、もちろん実際の紙の官報を購入して確認することもできます。私はせっかくなので後日、本物の官報を購入してきました。購入できる場所は各都道府県に数カ所しかないのが残念ですが・・

官報

手続き③印鑑を買う

印鑑

この1ヵ月間を待っている間に、新しい印鑑を購入してしまいましょう。

特に印鑑は変更する必要はないのですが、せっかくなので株式会社の印鑑へと変更する方も多いかと思います。

頑丈なチタン製の印鑑を購入される方も多いようですが、私は3千円くらいの印鑑を購入しました。

手続き④書類を準備する

さて、いよいよ最も面倒なステップである書類の準備です。

株式会社への組織変更手続きは用意する書類が色々とあり、司法書士や行政書士も嫌がる手続きと言われているらしいです。頑張っていきましょう。

最低でも必要な書類はこちらのとおりです。取締役が2名以上いる場合には、互選書なども必要になります。

  • 定款
  • 組織変更計画書
  • 組織変更計画に関する総社員の同意書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表者の印鑑証明書(改印するのに必要)
  • 公告及び催告をしたことを証する書面
  • 異議を述べた債権者がいないことを証する書面
  • 登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書

新しい定款

合同会社から株式会社へと変わりますので、定款も新しく作成する必要があります。

私は、株式会社を新規設立する際のテンプレートをちょこちょこと変更して、新しい定款をつくりました。

そして定款の1番最後に、このような1文を付け加えてください。

定款の最後に追記附則
上記定款は,東京都◯◯区◯◯二丁目3番4号 合同会社◯◯◯の組織を変更して株式会社とするにつき作成したものであって,組織変更が効力を生じた日から,これを施行するものとする。

株式の譲渡制限

合同会社の定款にないポイントとして、株式の譲渡制限というものがあります。ふつうは付けておいたほうが良いです。

いろいろな方法があるようなのですが、私はこのようにしました。

株式の譲渡制限第◯条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、代表取締役の承認を受けなければならない。

代表取締役の選任方法

もう一つ悩んだポイントが、代表取締役の選任方法です。株主総会で選ぶ方法などもあるようですが、いずれにせよ私の会社は1人しかいない1人会社のため、このように規定しました。

代表取締役及び社長第◯条 当会社に取締役を2名以上置く場合には、取締役の互選により、代表取締役1名以上を定め、その内1名を取締役社長とする。
2 当会社に置く取締役が1名の場合には、その取締役を代表取締役とし、社長とする。
3 社長は、当会社を代表し、当会社の業務を執行する。

事業目的なども見直しておこう

株式会社に組織変更する登記を行う時、同時に会社の事業目的、会社の名前、公告方法、役員、資本金額の減少なども同時に変更することができます。追加費用はかかりません。

合同会社を設立した時とは事業内容が変わっていたりしたら、せっかくなので見直しておきましょう。

会社名も自由に変更できます。合同会社ABCから、XYZ株式会社のような変更もOKです。

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増資、本店移転は同時に登記できません、残念・・

組織変更計画書

次に、組織変更計画書です。テンプレートに従って埋めていけば良いのですが、ポイントは効力発生日です。

ここで指定した日付が新しい株式会社の設立日になります。

組織変更計画書

1.目的
◯◯
◯◯
前各号に附帯する一切の事業
1.商号 株式会社◯◯
1.本店 東京都◯◯◯◯
1.発行可能株式総数 ◯◯◯◯株
1.上記の事項以外に定款で定める事項
別紙定款案のとおり。
1.取締役の氏名 ◯◯◯◯
1.組織変更をする持分会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後の株
式の数又はその数の算定方法
◯◯株
1.組織変更をする持分会社の社員に対する割当てに関する事項
以下のとおり割り当てることとする。
社員 ◯◯◯◯について◯◯◯◯株
1.効力発生日    ◯◯年◯◯月◯◯日

組織変更計画に関する総社員の同意書

テンプレートはこちらの通りです。

ポイントは、この同意書に記載する日付は効力発生日より前である必要があるということです。右下に記載する会社なども、合同会社の方です。

同意書

 1.株式会社へ組織変更するに際して,会社法第746条の規定に基づいて
作成した別紙組織変更計画書について

上記に同意する。

平成◯◯年◯◯月◯◯日(書類提出日)

合同会社◯◯
社員 ◯◯◯◯ ㊞

取締役の就任承諾書

こちらはテンプレートでOKです。日付に関しては、私は効力発生日と同じ日にしました。

就任承諾書

私は,平成◯◯年◯◯月◯◯日,貴社の設立時取締役に選任されたので,その就任を承諾します。

平成◯◯年◯◯月◯◯日(書類提出日)

東京都(自分の住所)
◯◯◯◯ (個人の印)
株式会社◯◯ 御中

印鑑証明書

登記を行う際には、新しい役員取締役の本人確認書類が必要です。今回、印鑑の変更も同時に手続きするので、代表取締役の印鑑証明書を持っていかなければなりません。

3ヶ月以内の印鑑証明書の原本を添付するか、コピーしたものに下記のように記載して添付すればOKです。

原本に相違ありません
代表取締役 ◯◯◯◯ ㊞

公告及び催告をしたことを証する書面

公告をした官報の原本を添付するか、コピーしたものに下記のように記載して添付すればOKです。

原本に相違ありません
代表取締役 ◯◯◯◯ ㊞

異議を述べた債権者がいないことを証する書面

こちらもテンプレートでOKなのですが、法務局のウェブサイトに載っているテンプレートだと、2点おかしな箇所がありました。

  • 「各別の催告に関しましては異議を述べることができる知れている債権者は1名もありません」という1文がありません。登記手続きの時に指摘されましたので、追記しておきました。
  • 右下の名義が、法務局のテンプレートだと古い合同会社になっていますが、正しくは株式会社のようです。

上申書

平成◯◯年◯◯月◯◯日総社員の同意により,合同会社◯◯を株式会社◯◯に組織変更をするについて,
会社法第781条の規定による各別の催告に関しましては異議を述べることができる知れている債権者は1名もありません。

また、債権者に対し公告を致しましたが,所定の期間内に異議を述べた債権者は1名もありませんでした。

ここに上申します。

平成◯◯年◯◯月◯◯日(書類提出日)

東京都◯◯◯◯◯◯
株式会社◯◯
代表取締役 ◯◯◯◯ ㊞

東京法務局 御中

登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書

意味不明な書類ですが、用意しておかなければなりません。

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法務局の方も、「なんでこの書類が必要なのかわかんないんだよねぇ」と言っていました

組織変更をする直前の資産の額、負債の額などについて記載しなければいけません。③は普通の会社は0円で良いと思います。

登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書

 登録免許税法施行規則第12条第4項に掲げる額は,次のとおりである。
① 組織変更をする会社の当該組織変更の直前における資産の額(登録免許税
法施行規則第12条第4項第1号)
金◯◯◯◯◯◯円

② 組織変更をする会社の当該組織変更の直前における負債の額(登録免許税
法施行規則第12条第4項第1号)
金◯◯◯◯◯◯円

③ 組織変更後の株式会社が当該組織変更に際して当該組織変更の直前の会社
の株主に対して交付する財産(当該組織変更後の株式会社の株式及を除く。)
の価額(登録免許税法施行規則第12条第4項第2号)
金◯◯◯◯◯◯円

上記の額に相違ないことを証明する。

平成◯◯年◯◯月◯◯日(書類提出日)

東京都◯◯◯◯◯◯◯◯
株式会社 ◯◯
代表取締役  ◯◯◯◯ ㊞

登記すべき事項をオンラインにより提出

最後に、登記すべき事項というものを提出しなければなりません。CD-Rに焼いて持っていく方法もありますが、私はオンラインから行いました。

ソフトの使い方がやけに面倒なのですが、こんな感じで申請しました。

オンライン

オンライン

オンライン

合同会社の解散登記の申請も行うのがポイントです。こちらは特に添付書類は要りません。

それぞれ、このような内容を記載します。

「商号」株式会社◯◯◯◯
「本店」東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号
「公告をする方法」電子公告とする。
https://www.◯◯◯◯◯◯.co.jp
ただし、電子公告による公告をすることができない事故その他やむを得ない事由が生じた場合は、官報に掲載してする。
(定款と全く同じ文言に)
「会社成立の年月日」平成◯◯年
◯◯月◯◯日(合同会社の設立日です、注意)
「目的」
1 ◯◯
2 ◯◯
3 ◯◯
「発行可能株式総数」◯◯株
「発行済株式の総数並びに種類及び数」
「発行済株式の総数」◯◯株
「資本金の額」金◯◯万円
「株式の譲渡制限に関する規定」 当会社の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない。
(定款と全く同じ文言に)
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」◯◯◯◯
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号
「氏名」◯◯◯◯
「登記記録に関する事項」平成◯◯年◯◯月◯◯日合同会社◯◯を組織変更し設立
「登記記録に関する事項」平成◯◯年◯◯月◯◯日東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号株式会社◯◯◯◯に組織変更し解散

画面上から申請したら、申請書を印刷します。

手続き⑤登記する

法務局

これらの書類もろもろと、収入印紙を3万円分×2 = 6万円分用意して、法務局に持っていきます。

わからないことがあっても法務局の方はかなり優しいので、色々と相談に乗ってもらいました。受理されたら、登記が完了するのを待ちます。

手続き⑥諸々の変更手続き

しばらくすると、登記が完了して新しい登記簿謄本が入手できます。これをもとに、色々と変更手続きをしなければなりません。

  • 税務署・都税事務所
  • 銀行口座
  • 社会保険
  • 不動産関連
  • その他取引がある所もろもろ
  • 名刺など

これにて手続は終了です。お疲れ様でした。

これからどんどんとビジネスを拡大していきましょう!

法人

Posted by auto-ts.net