「最強の株式投資法」書評レビュー、株・FXの投資戦略の検証入門に!

2016年12月23日

今回は、「ロボット運用のプロが分析してわかった 最強の株式投資法」という書籍のレビューです。

さて、まずタイトルが過剰ですよね。。「最強の株式投資法」とは。。

たいてい、このように「最強!」「初心者でも儲かる!」「月◯万円!」みたいな本は、おおよそ胡散臭い本な気がしていますが、、、

ただこの本は、数ある株式投資本の中でも珍しく、投資戦略の検証やバックテストに関して扱った本なので興味が出ました。

読んでみた感想としては、「投資戦略の検証→実行」という、システムトレード、自動売買における基本を理解するのに非常に良い入門本である!という思いです。

また、本ブログでおなじみのトレードステーションも書中に各所に出てきます。

では、レビューして見ます。

投資戦略の検証の重要性

第1章は、「実はあてにならない?投資戦略の常識を疑え!」です。

株やFXの本を読むとたいてい、「ゴールデンクロスとデッドクロスの売買」の話が出ますね。

短期移動平均線と長期移動平均線がクロスしたら売買する、あれです。

実際のところ、この戦略はよく本では見ますが、実際に試して上手くいった!という方は皆無に近いでしょう。実際に試しても上手くいきませんし、そもそも「そんな単純に儲かったら苦労しないわ!」って思ってしまいますね。

しかし、この戦略が「何故うまくいかないのか?」あるいは「どうしたらもっとマシになるか?」をきちんと数字で検証した方は、そう多くないのではないのでしょうか。

それに向き合ってみたのがこの章です。

この章ではきちんとこの「ゴールデンクロスとデッドクロスの売買」がいかに上手く行かないか(笑)、

そしてどうすればうまくいくか?をきちんと数字で示してくれます。

また、「ゴールデンクロスとデッドクロスの売買」以外にも、「損切りは早く、利益を伸ばせ」という相場の格言にも、使い所によっては間違いである、というのもきちんと数字で示してくれます。

きちんと数字で示してくれる、というのが非常に良いポイントであると思います。

自分に合った投資戦略の見つけ方

第2章では、「プロフィットファクター」とか「ドローダウン」、「バックテスト」「勝率」「取引回数」など、自動売買を行う上では欠かせない用語がでてきます。

各用語に関しても、わかりやすく説明してくれています。

今まで自分でトレードをする、いわゆる裁量トレードをしてきた方の多くは、こうした用語を知らない方も多いようです。

しかし、きちんと投資戦略をたて、検証し、改善し、更に良い投資戦略を作り上げていくトレードにおいては、こうした数値を重要視していく必要があります。

この章では、そうしたPDCAの回し方についてわかりやすく解説してくれます。

最強のテクニカル戦略を探せ!

第3章は、「どうやってトレード手法を見つけたら良いか?」の話です。

実際にいろいろなインジケータ、例えばボリンジャーバンドやRSI、MACDなどなどを用いて、どのように投資戦略を構築していくかを解説しています。

また、「ATRトレーリングストップ」という、なかなか使っている人は多くないですが優れたストップ手法も紹介しています。

ボリンジャーバンド等のインジケータは、単独で使ってもあまり役に立たない、というのは投資経験がある方であれば多くの人がご存知だと思うのですが、この章では2つのインジケータをかけ合わせてプロフィットファクター等々を高めていく手法を検証しています。

アノマリーを徹底検証

第4章ではアノマリーを検証しています。

アノマリーとは、経験則、「根拠はないけどそうなることが多い」というような相場の動きです。

例えば「サザエさんの視聴率が低いと翌日の日経平均が下がる」みたいなものです。

トレードステーションを使えば、こうしたアノマリーに関しても解析が可能です。

実際にこの章では、「日経平均を◯月△日に買って□月✕日に決済すれば儲かる!」というのを、過去データから総当り解析して算出しています。

私はアノマリーは信じない派ですのですが、とにかく、「検証ができることは大事なこと」というのが分かります。

優待株のアノマリー

第5章では、個別銘柄に関して、優待株に関するアノマリーを検証しています。実際に、

  • ANAホールディングス(9292)
  • コロワイド(7616)
  • カゴメ(2811)
  • 伊藤園(2593)
  • ゼンショーHD(7550)
  • 大戸屋HD(2705)
  • オリックス(8591)

の7銘柄に関して、過去データから「◯月△日に買って□月✕日に決済すれば儲かる!」みたいな検証をしています。

こちらも興味ある方はぜひ見てみては如何でしょうか。

裁定取引ペア

最後の章は裁定取引(アービトラージ)に関する話です。

この章では、日経平均とTOPIXの裁定取引をNT倍率(日経平均÷TOPIX)を使って検証したり、ANAとJAL、あるいは電通と博報堂、NTTデータとNRIの株価関係をもとに取引したらどうなるか?を検証しています。

例えば、JAL÷ANAの"JA倍率"が11.4倍を下回ったら買い、12.8倍になったら決済という戦略では、ここ最近では100%の勝率である、というような話です。もちろんあくまで参考ですので、今後も役立つかは不明ですが。

総評

まとめとして、この本は「投資戦略の検証を今までしたことがない」ような方にとって、検証の有用性であったり、「検証がどう行われるのか?」「どうやって最適化するか?」をわかりやすく読める本であると思います。

反対に、今までMT4やトレードステーションでさんざんバックテストを繰り返してきた方にとっては、読む必要はあまりないでしょう。

「最強の株式投資法」という書名はかなり大げさですので、「グラフでわかる!株の投資戦略検証 入門編」だったら良かったのになぁ、と思う今日このごろです。

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さいごに

付録として、トレードステーションの使い方口座があります。

本書の検証はすべてトレードステーションを元に行われているようです。

トレードステーションは、日本株の過去データのバックテストができたり、プログラムにのっとって自動売買ができる唯一といっていいツールです。

トレードステーションは大変おすすめです。まだ口座を開いていない方はこの機会にぜひ!