「世界一やさしい日経225オプション取引の教科書」書評レビュー

2017年8月17日

世界一やさしい日経225オプション取引の教科書

今回は「世界一やさしい日経225オプション取引の教科書 1年生」の書評・レビューです。

オプション取引について、「リスクヘッジの為のオプション取引〜」などとニュースなどではよく耳にしますが、実際に行ったことのある個人投資家は多くないのではないのでしょうか。

(ちなみに本書内には、オプション取引の人口は株式投資の40分の1以下と書いてありました)

それを実証するように、オプション取引について書かれた書籍は多くありません。Amazonで「オプション取引」と検索しても、10年以上前の本が出てきたりします。

そんな中、この「世界一やさしい日経225オプション取引の教科書 1年生」は、久々に登場した、個人投資家向けの極めて分かりやすい入門書籍なのです。

オプション取引として異例の説明!

この本の著者は岩田亮氏です。投資顧問を主宰しており、「株式投資よりも日経225オプションの方が安定して利益を上げやすい」とのこと。

岩田氏の投資顧問が素晴らしいかどうかはおいておいて、この本はオプション取引の入門書として非常に分かりやすいのは確かです。この本の第一章でオプション取引について説明されているのですが、分かりやすい図も交えてカンタンな言葉で説明されていて、オプション取引をしたことのない私の頭でもスッと理解できました。

難しい説明を省く

書名の「世界一やさしい」を実現するため、著者は普通のオプション取引本に書いてある「スプレッド取引」「合成ポジション」の説明を省いたそうです。「スプレッド取引」と「合成ポジション」が今までの本にあったため、オプション取引のハードルが上がっていると考えているみたいですね。

なお、ふつうの投資家はこのような合成ポジションで利益を上げている人も多いようですが、著者は利益の大半を単純な「コール売り戦略」で上げている、と記載されています。

オプション取引は、株と全く違う

筆者は、日経225オプション取引は株式やFXと全く違うと言います。

どれくらい違うかというと、「野球」と「サッカー」ほど違います。あるいは、「おいちょかぶ」と「麻雀」、または、「サーキットのレース」と「ダートトライアル」といってもいいかもしれません。

要するにまったく別のゲームなのです。

確かにこれは正しいと思います。株やFXの経験はありますが、オプションの経験はない私も実際にこの本を読んでみてそう感じました。

なぜGPIFの運用を批判?

オプション取引の説明はとてもわかりやすいのですが、この本で私が首をかしげたのは、年金の運用は失敗しているから、オプション取引で自分で年金を作ろう!という筆者の主張です。

この本ではアベノミクスを批判し、GPIFの運用を失敗と決めつけ、将来の年金の支給額は半分以下になる可能性があるから、オプション取引で自分で年金を補完しようと主張しています。さすがにこれは暴論であると私は思います。。オプション取引の本なのに、ここまで批判する意味がよく分かりません。

オプション取引の本なので、オプション取引で資産を構築することを薦めるのは理解できるのですが、「老後の貴重なお金をオプション取引に投下しよう」、という主張は少々危険ではないでしょうか・・もちろん安全資産なら良いのですが。

コール売り戦略で年金を補完?

この本では第1章でオプション取引について詳しく分かりやすく説明し(本当に分かりやすいです!)、第2章ではコール売り戦略を紹介しています。

筆者はコール売り戦略で勝率95%を実現し、年利15%を得ているそうです。しかも相場が厳しい状況での成績であったため、本当なら勝率99%であったとのこと。

年間100トレード行うために300万円ほどの証拠金で常時3銘柄程度を保有し、95勝(95万円の利益)5敗(50万円の損失)、差し引き45万円の利益で利回り15%です。

私はオプション取引の経験がないため分かりませんが、確かにオプション取引ではタイム・ディケイという現象があり、売りでは勝手に値段が下がっていくので高勝率になります。

オプション取引では、瞬発力を発揮して大きな利益を狙える一方で、株式投資よりリスクの少ないトレードをすることもできる

ちゃんとリスクヘッジも紹介

一方できちんとリスクヘッジも紹介しています。コール売り戦略はいわゆるコツコツドカンなので、勝率は高いですが、負けるとドカンとやられます。筆者の手法では、勝つと1万円が儲かりますが、負けると10万円が飛びます。そんなときでも対処が出来るよう、カバードコールや両建てを紹介しています。

また、新規のコール売りの際は「資金の1/3までしか使ってはいけない」と何度も何度も念を押しています。

他の手法も紹介

第3章と4章では、「ニアプット買い戦略」と「ファープット買い戦略」を紹介しています。

ニアプット戦略とは、簡単に言えば日経平均が「買われすぎ」の時に、値段が近いプットを買う戦略です。買われすぎの後は反落する可能性が高いことを狙った戦略ですね。

ファープット買い戦略とは、ある意味で宝くじのような戦略です。権利行使価格が非常に低いプットを買っておくと、万が一相場が暴落した時に数百倍の利益を手にすることが出来ます。

私はオプション取引を知らなかったので、特にファープット買い戦略には驚きを覚えました!宝くじがてら今度買ってみようと思います。

SBI証券を使用して解説

ちなみに、筆者はSBI証券を推奨しており、本書中にはSBI証券の画面を使ったオプション取引のやり方がたくさん出ています。

SBI証券を使っている方には、特に参考になるかと思います。

オプション取引を始めたいなら注目の一冊

この本を読んで私は、オプション取引は株や先物とは全く違う、上手く使えば高勝率あるいは数百倍もの利益を得られる素晴らしいツールであることを知ることが出来ました。

  • オプション取引に興味がある
  • 株も先物も覚えたから、新たな投資を試してみたい
  • 相場の暴落時への保険が欲しい
  • 高勝率の手法を知りたい

こんな人にはオススメかと思います。ぜひ読んでみて下さい!