書評・レビュー「低位株待ち伏せ投資 10万円から始める毎年5割高狙いの株式投資法」

2017年5月24日

低位株待ち伏せ投資

今回は「低位株待ち伏せ投資 10万円から始める毎年5割高狙いの株式投資法」という本を読んでみました。

この本が伝えようとしていることは、まさにタイトルのとおりです。低位株をじっくり買って、大きく儲けようという投資です。早速レビューしてみます。

低位株待ち伏せ投資

著者は、株初心者が大怪我をしないで着実に資金を増やしていくためには、「低位株の待ち伏せ投資が一番適していると言います。

時価総額が大きい銘柄で得られるチャンスはたかが知れているので、低位株を購入し、1〜2年に一度訪れる波に乗る戦略のようです。

なお、筆者は低位株を1株500円以下のものとしています。

低位株効果

低位株をすすめる理由として、低位株効果をあげています。これは、値がさ株より低位株の方が上昇率が高くなるというもので、つまり「50円の株が100円になる可能性」と、「5,000円の株が10,000円になる可能性」とでは、前者の方が高いということです。

これは、後者の株は単元株を買うとすると50万円必要になるので、誰もが気軽に参加できないからです。過去の相場においても、全員参加型の安い株のほうが意外高を演じている、としています。確かにその通りだと思いますね。

ファーストリテイリングのような大型株が株価倍増を示すには、よほど大きなニュースや大幅利益増加がないと不可能です。多くのアナリスト等によって将来の予想利益などなどリサーチされているので、サプライズが起きる可能性が低い、と述べています。

発行済株数と浮動株比率の少ない株が有利

「需給は全てに優先する」という言葉があるように、株価は需給で決まります。これにより、発行済株数と浮動株比率の少ない株は、値動きが軽くなるとのことです。

例えば、5406 神戸製鋼所は、発行済株数36億株、浮動株比率は20.1%です。つまり市場に出ている株は約7.3億株となります。

一方で、同じ東証一部の7608 SKジャパンは、発行済株数850万株、浮動株比率は13.1%、つまり110万株ほどしか浮動株がありません。

必然的に、ちょっとした買いでも株価が上昇しやすくなります。

上昇株をつかまないように、と警告

著者は、「株で勝ちたいのなら、まず絶対に、勢い良く上昇している株に飛びつかないと約束して下さい」と述べています。「飛びつき買いを繰り返していたら、資金はどんどん減っていき、1年もしないうちに株式市場から退場させられてしまいますとのこと。

これは新高値ブレイク投資法などの方法とは逆行していますね。

著者は、長期の月足チャートを見て、株価が低いときに買うことをすすめています。

第3章と第4章

この本の第3章と第4章はよくある話が載っています。第3章のタイトルは「株で勝てないのには理由がある」、第4章は「株で儲けるためのメンタルトレーニング」です。

例えば「なぜいつも大底で叩き売ってしまうのか?」「なぜ売ったあと大きく上昇してしまうのか?」「なぜいつも損切りできないのか?」「最大の敵は自分自身」です。

この2章においては、あまり「低位株投資」それ自体とは関係ない内容が書かれています。内容も他の投資本に書かれているようなことと、おおよそ一致しますね。

ちょっと勉強になりましたのは、次のくだりです。

「なぜ売ったあと大きく上昇してしまうのか?」

株価は大衆心理で日々動いているわけで、多くの投資家が売りたいと思うポイントは同じです。売りたい投資家が売ってしまうと、あとは売りが少なくなるので、需給が一気に改善し、株価は上に向かうことになります。

倍増期待の低位株発掘法

さて、肝心の低位株の発掘法が第5章にあります。とはいっても、かなりテキトーです、笑

東証一部で

東証一部で資本金30億円以下、発行済株数6,000万株以下、株価300円以下に絞った所、43銘柄が絞り込まれたのこと。ここから月足チャートを見て、頻繁に上下している株を見つける、とのことです。

倒産に注意

低位株投資なので、「破綻するリスクの大小を見極める必要がある」とのことです。当然ですね。

その見分け方として、「継続企業の前提に関する注記」、いわゆるGC注記をあげています。また、四季報を見て、営業CFがプラスかどうかを見ろ、とのこと。

かなりテキトーですね、、笑

絞った結果

43銘柄の中からチャートの振れ幅が上下に大きく、過去10年で頻繁に安値から高値まで倍増を繰り返している銘柄を選んだ結果、5銘柄をリストアップしたそうです。ちなみに、営業CFがマイナスだったり、GC注記がある銘柄は排除したとのこと。

なお、5銘柄あげた、といいつつ実際には6銘柄が載っていました。

  • 8025 ツカモトコーポレーション
    →10年間で7回の大きな上昇
  • 9130 共栄タンカー
    →根っからの仕手株と見ているよう。業績も悪いのだが、動き出したときにはストップ高を伴うことが多く、上昇率が凄い。10年間に7回も5割高を繰り返しており、熱烈なファンが居るに違いない。
  • 5603 虹技
    →知る人ぞ知る元大証一部のぶっ飛び銘柄。東証でもかなりの小型株で、上昇した際の値幅は大きい。
  • 9763 丸紅建材リース
    →オリンピック関連銘柄などとして上昇が期待できそう。低PERの高配当銘柄としても注目。
  • 4779 ソフトブレーン
    →2009年には株価が6.9倍、2011年には4.1倍の上昇をするなど、元マザーズ銘柄らしい派手な値動き
  • 7608 エスケイジャパン
    →5割高になったのは10年で5回と少ないものの、かなり浮動株が少なく、値動きが軽い。

ファンダメンタルは気にしない?

さて、この本ではちらっとPERは登場するものの、企業の純資産やPBRなど、詳しくファンダメンタルを分析していません。

「月足で見て安い時に買う」という投資法なので、わざわざPBRなどを見なくとも、すでに割安になっているから良い、という考え方かもしれませんが、個人的には、もうすこしファンダメンタルを気にしてはどうか・・?と感じました。

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