株の信用維持率(委託保証金維持率)と、FXの証拠金維持率の違い
株の信用取引とFXの取引を両方やったことある方は、「株の信用維持率とFXの証拠金維持率って何が違うんだろう?」と思ったことはないでしょうか。
ここらでちょっと整理してみます。
FXの証拠金維持率とは?
FXのレバレッジ
FXは、「レバレッジ25倍」と言われるように、資金の25倍まで取引が可能です。
・・ただ、これはあまり正しくない言い方だと私は思っていて、正しい言い方は「取引額の4%(25分の1)の証拠金が必要」ということです。
例えば、ドル円を10,000ドル買うとしましょう。この時は1ドル=110円だとすると、110(円/ドル)×10,000(ドル)=1,100,000円の取引をしていることになります。
この取引をするのに、必要な証拠金は1,100,000円の25分の1 = 4%です。1,100,000円×4% = 44,000円が必要になります。
ですので、10,000ドルの取引をするには口座に44,000円が最低でも入っていなければなりません。
証拠金維持率とは?
FXの証拠金維持率とは、「必要な証拠金に対して有効証拠金がいくらあるか?」の割合です。
必要な証拠金とは先ほど書きましたが、有効証拠金ってなんでしょうか?
先ほど10,000ドル買うためには44,000円必要だと書きましたが、取引をしていると利益や損失が出たりしますよね。
損失が出てしまった!
例えば1ドル110円のときに10,000ドル買いましたが、1ドル=109円になったとしましょう。
このとき、持っているのは10,000ドルで変わりません。ただし日本円に換算すると、当初は10,000ドル×110円/ドル=1,10,000円持っていたのに、いつのまにか10,000ドル×109円/ドル=1,090,000円しか持っていないことになります。1万円の損失です。
このとき1万円の損失が発生しているわけですから、自分の手持ちの残高から引かなければなりません。44,000円持っていたのに、1万円減って34,000円になってしまいました。これがいま現在有効な証拠金ということになります。
利益が出た(^^)
逆パターンを考えてみましょう。10,000ドル買いましたが、1ドル=111円になったとしましょう。
このとき、持っているのは10,000ドルで変わりません。ただし日本円に換算すると、当初は10,000ドル×110円/ドル=1,10,000円持っていたのに、いつのまにか10,000ドル×111円/ドル=1,110,000円持っていることになります。1万円の利益です(^^)
このとき1万円の利益が発生しているわけですから、自分の手持ちの残高に足してしまいましょう。44,000円持っていたのですが、1万円増えて54,000円になりました。
このように、「本来持っていた残高から利益を足したり損失を引いたもの」を有効証拠金といいます。
証拠金維持率とは?
さて証拠金維持率とは、有効証拠金を必要証拠金で割ります。44,000円証拠金が必要なときに、口座に44,000円あったら、証拠金維持率は100%です。
そしてこの証拠金維持率が100%を下回ると、多くのFX業者ではロスカットが発生します。
損失が出たら有効証拠金と証拠金維持率はどうなる?
損失が出たパターンを考えてみましょう。このとき、有効証拠金は34,000円に減ってしまいました。
必要な証拠金は、1ドル=109円なので、109(円/ドル)×10,000(ドル)×4% =43,600円ですね。
ですので証拠金維持率は、34,000円 ÷ 43,600円 = 78% です
あれ、100%を下回っている、、、ということで、この売買はロスカット(=強制的に決済)されます。残念、、、
レバレッジギリギリの取引 = 維持率100%
以上まとめると、よく言われるフルレバレッジ、つまり25倍のレバレッジを最大に効かせた状態は、維持率100%になります。この状態では、ちょっと不利な価格に動いただけでロスカットを食らってしまいますね。
株の場合は?
株の場合を整理してみます。株の場合は、取引金額の30%の保証金が必要になります。
例えば、1,000円の株価の株を100株買う時、必要な保証金は1,000(円/株)×100(株)×30% = 300,000円ですね。
この時、信用維持率はこのように計算します。細かい手数料などはあえて無視しています。
残高に損益をプラスマイナスしたあと、建玉額で割っています。FXの場合と比べると、分子は同じですが、分母が少し違いますね。
レバレッジギリギリの取引 = 信用維持率30%
まとめると、信用取引の限界つまり3.33…倍のレバレッジを最大に効かせた状態は、維持率30%になります。
株の場合は、マージンコールが信用維持率20%や25%でかかる業者が多いですので、多少不利な価格に動いても少しの猶予はありますね。